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明治初期の日本―ドイツ外交官アイゼンデッヒャー公使の写真帖より

P. パンツァー、S. サーラ 著
München Iudicium (2007年)

19世紀末期は、日独関係の黄金時代とも言われている。両国が歩み寄りを見せる過程で、駐日ドイツ帝国公使、カール・フォン・アイゼンデッヒャーが果たした役割は大きい。アイゼンデッヒャーは1875年から駐日弁理公使、1880年から特命全権公使を務め、1882年まで東京に滞在した。 この7年の間にドイツ公使館が新築され、さらに、後のヴィルヘルム二世の弟ハインリヒ親王が来日するが、アイゼンデッヒャーはその折々、日本のドイツに対する親近感の向上に努めた。治外法権を巡って、ときとして摩擦も生じたが、アイゼンデッヒャーが井上馨外務卿の不平等条約改正の要求を強く支持したことが、両者の接近をもたらし、日独関係が強化された。 アイゼンデッヒャーのように海軍将官から外交官に転身するのは珍しい。しかし、それに勝るとも劣らず希少なのが、彼が日本での任務期間中に収集し、その後、ドイツに持ち帰った史料である。アイゼンデッヒャーの3冊の写真帖と複数になる自作の水彩画等のアルバムは現在、ボン大学日本文化研究所に所蔵されている。 当時の列強の政治的動向のみならず、明治時代の日独関係を生き生きと伝え、さらにアイゼンデッヒャー公使の活躍を魅力的な形で教えてくれるこの貴重な視覚的史料を、ここに初めて公開する。

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序 ドイツ外交官の見た明治日本
1 最初の邂逅―プロイセン東亜遠征団と文久元年日普修好通商条約
2 大名屋敷から公使館へ
3 ドイツ公使館とその館員
4 プロイセン公ハインリヒ親王の初めての日本周遊
5 外交官と接待係―日本の新たな指導者達
6 友人、同僚、ライバルとして―明治時代の在日外国人
7 貿易と往来―築地ドイツ領事館と横浜海軍病院
8 「日本でさえ野宿はできない」―ドイツ公使館の新築工事
9 「現実からメルヘンの世界へ」―余暇と娯楽
10 全ての道は日本へ通ず―アイゼンデッヒャー公使の旅土産
11 海軍士官候補生から外交官へ―カール・フォン・アイゼンデッヒャー公使の人生と功績(資料)